国民ひとり一人の意識で医療問題は解決する 川嶋朗医師インタビュー

  • 2015年7月 5日(日) 09:07 JST
特集 国民ひとり一人の意識で医療問題は解決する

川島朗(あきら)氏

東京有明医療大学  保険医療学部 鍼灸学科 教授

東洋医学研究所 付属クリニック 自然医療部門  医師

特定非営利活動法人統合医療塾塾頭・理事長

著書

病気は心のメッセージ(PHPファクトリー・パブリッシング

「見えない力」で健康になる(サンマーク出版)

『「冷えとり」で体内酵素を活性化する方法』(2010年主婦の友社)など多数。

統合医療の大切さを訴え続けている信念の医師、川嶋朗氏にインタビューしました。

Q 統合医療を目指そうと思った元々のきっかけは、アメリカ留学中、現地の人たちに『はり』の効能を紹介したことだそうですね。

たまたま、個人的な使用のために、持参していた『はり』をしてほしいという要望があり、知人に試したこところ、それが大きな評判になりMIT(マサチューセッツ工科大学)よりセミナーをしてほしいと依頼を受けました。専門外なのではじめは、断っていたのですが、何度も要望があったので、はりの英語の専門用語なども準備をして、ノーベル賞の受賞者などもいる前で、セミナーを行いました。その時は驚くほどの反響があり、いいと思えば、すぐに取り入れる彼らの探究心と野心を目の辺りにしました。このままでは、いいものがまたアメリカにとられてしまうと感じ、急遽、帰国を決意し、はりをはじめとする東洋医学を日本の医療現場に取り入れようと、活動を開始しました。そして、ホメオパシーや漢方、自然医療、気功などいいと思ったものはどんどん勉強して、場合によっては専門家の教えを受けながら、時間を掛けて今の統合医療の形を整えていきました。しかし、日本の医療現場は、本家のアメリカやヨーロッパと比べても西洋医学の考えに忠実なところがあり、まだまだ、私のような考え方で治療をしている医師は少数です。

私も西洋医療の素晴らしさは否定しませんが、人が病気になる原因は様々で、西洋医学だけでは治療できない病気も増えています。西洋医学の病気を点で捉える発想では不十分で、心身、両面から患者を診る東洋医学の視点が世界の医学会でも注目されています。

 

Q 医者が失業するような世の中が理想ということですが?

私はいつも患者の皆さんに話していますが、自分自身の体の具合を一番理解できるのは実は患者自身です。医師の本来の役割は、患者が病気とどのように向かい合うかをサポートすることだと思っています。その点から考えると現状の診療は理想には程遠いといわざるをえません。しかし、患者自身も過度に医師に頼るところがあり、自分の体の状況は自分で知るという考えが必要です。私の著書にも書いていますが、患者が本当に自分の体に真剣に気遣い始めるのは、癌のような死の可能性のある病気になった時です。しかし、それでは遅いわけで、そのために予防医学を提唱しています。つまり医者に掛かる前に自分で問題を解決しようということです。本当は、患者の皆さんもそのようになることを望んでいると思いますが、現状では、人々が安易に病院に通うことで、医師のひとりの患者に掛ける時間も限定されています。

私は、自由診療の完全予約制で、ひとり一人に時間を掛けて患者に合った形の診療をしています。医師免許を持つものがこのような形で統合医療を実践しているケースはまだ少ないので、多くの皆さんが日々訪れています。一人ひとりの話を親身になって聞くと、よりいい対処法を提案することが出来ますね。

しかし、最終的にどのような治療をするかを決めるのは患者自身で、私たちの使命は、患者が自分の体のことを真剣に気遣い、安易に医者に掛かることがないように教育することだと思います。

Q 理想に燃えた若い医師や医学生で川嶋先生のような診療を行いたいと思う人は多いと思いますが、統合医療やその考え方を教える教育機関などを作る計画はありますか?

多くの医師は、現場の忙しさに追われ、中々本質的なことを考える時間もないのが現状です。また、もしそのような考えがあっても、組織的にも出来上がった業界ですので、異質な取り組みは中々評価されにくいところがあります。

しかし、このままではいけないと異を唱える人たちも増えているのは事実で、現状の医学界に問題定義をする書籍なども多数発刊されています。

私が大学の機関で診療を続けている理由には、まさに『医療従事者としての哲学』なども含めた教育機関を作りたいという想いがあるからです。現実的にはまだまだ解決しないといけない問題もたくさんありますが、思いを共有する仲間をどんどん増やして必ず実現したいと思っています。

ある僧侶の方に『お医者さんは人格者であってほしい』といわれたことがあります。生活が安定していて、給与的に優遇されているなどと考えて、医師を目指す人もいるかも知れませんが、多くの若者は、『人の命を救いたい』という純粋な動機を持っていると思います。しかし、その純粋な気持ちを受けいれて、医師本来の『患者が病気になることを未然に防ぐ仕事』を全うできる職場はほとんどありませんし、また、医師が患者に親身になって寄り添える余裕のある医療の現場も多いとはいえません。

そのためにも、早急に現状の医療のあり方を根本的に変えていく必要があると思います。

子役としてNHKのドラマで主役を務めるというユニークな経歴も持つ川嶋氏。

有名監督などからの熱心な誘いもあったが、あっさりと子役をやめて、医師の道を目指した。

本来医療は、僧侶や牧師などの祭祀が行ってきた『神聖な行為』でもあり、お金儲けではない。その医療を本来の形にするには『哲学』が必要だと川嶋氏はいう。

多くの医学を目指す若者は、川嶋医師と共に本来の医療の形を取り戻すべく心も磨いてほしい。また医療を受ける立場としては、『自分の体を一番よく知っているのは自分自身だ』ということを肝に銘じ、自分の体について知り、もし医師にかかっても最終的には自分で判断するという気持ちが必要である。医師はあくまでアドバイザーで神様ではない。自分の体は自分で守るという意識を一人ひとりが持てば、医療問題は必ず解決するはずだ。

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