日系ブラジル人『在日ブラジル人1世』の日本社会への想い

  • 2016年July25日(Mon) 08:34 JST
国際人

日系ブラジル人『在日ブラジル人1世』の日本社会への想い

リオデジャネイロでのオリンピックもいよいよ来月にひかえ、各マスメディアもブラジルの今を伝えているが、今回は、日本社会にブラジルの香りを届ける日系ブラジル人『在日ブラジル人1世』のアンジェロ・イシ武蔵大学教授に日本で暮らす日系人のことについてお聞きした。

*なお、『在日ブラジル人1世』とは、日本に根を張り、定住することを決めた日系人のことをいう。

Q:日系人社会の特徴は何ですか?日本人、日本社会にどんなことを期待しますか?

アンジェロ氏:他の外国人と日系人の一番の違いは、1990年の入管法の改正で、日系人は、合法的に、ほぼ制限なく活動が出来るようになったということですね。そして、いい意味でも、悪い意味でも、日系人のルーツが日本にあるということです。日系人の文化の中にはまだまだ、日本文化が残っています。日本食などもそうですが、カラオケなども大事な日系人の文化になっています。

1990年代に、多くの日系人が、主に工場の労働者などとして、日本にやってきました。彼らの多くは日本語が理解できず、見掛けも名前も日本人なので、そのギャップである意味、日本社会に適応するのに他の外国人以上につらい思いをしたも者も大勢いました。日本人からすると『日本人なのにどうして?』という気持ちもあったのではないかと思います。

一番多い時には、30万人以上いた日系人も今では、17万人、約半数に減少しています。しかし、私はこのことを否定的には考えていません。リーマンショックでは、多くの日系人が、仕事を失いました。そして、追い討ちをかけるように、日本政府が日系人の帰国を奨励しました。しかし、日本政府からの帰国費用などの補助もありながらも、帰国の道を選ばず、半数以上の日系人は、日本にとどまることを決めたわけです。また、リーマンションに続く、大災害、3.11の東日本大地震でも、東北地域に日系人は、ほとんど住んでいないにも関わらず、多くの日系人は、被災地のボランテイアに出かけました。

経営している会社から重機をもちこんで、いち早く駆けつけ、地域の人たちに大変感謝された者もいるほど、日系人たちは、日本社会の一員だと自分たちは思っています。自分の生活も決して楽ではない中、多くの日系人が被災地でボランテイアをしたことが、それを物語っています。

私が日本社会に望むことは、長期定住日系人を『在日ブラジル人1世』として、日本社会の仲間とみなしてほしいということですね。もちろん、日系人も『在日ブラジル人1世』として、日本で安定して暮らせるために、日本語をしっかりと、習得する必要もあると思います。

Q:1990年に始まった日系人の来日も、在日ブラジル人の1,5世、2世の時代になってきていますね?

A:実は、音楽やスポーツ、芸能などの分野にも在日ブラジル人の1,5世、2世が活躍しています。サッカーなどは、日本のナショナルチームに必ず、ひとりは、在日ブラジル人がいるほどですし、野球や音楽活動でも日本で活躍する者も増えています。

日本の国際化やグローバル人材の教育など叫ばれていますが、経済的な理由、労働力としてだけで外国人を見るのではなく、日本人とは異なる文化的背景を持つ人たちが、日本社会に溶け込み、定住していけば、文化的な活動も幅が広がり、日本文化も新たな視点で見ることも出来ると思います。

今までは、言葉のハンディもあり、大学などの高等教育を受ける在日ブラジル人はあまりいませんでしたが、少しずつ、進学する学生も増えてきています。2世の割合が多くなると益々その傾向はつよくなるでしょう。

国際紅白歌合戦にも大変興味を持ってくださった、アンジェロ・イシ教授。教授ご自身も、『在日ブラジル人1世』らしく、とてもリラックスした話やすい方でした。もうすぐ、リオデジャネイロのオリンピックも始りますが、その前に、読んでおきたい本を紹介します。学校や会社でもいい話のねたになること間違いなし!!

ブラジルを知るための56章

イシ,アンジェロ【著】〈Ishi,Angelo〉 明石書店 発刊

https://goo.gl/5wP8iD

BRICsの1国として世界の注目を集めつつある大国ブラジルの魅力を、日系ブラジル人の著者が「ブラジル人」の視点と「日本人」の視点を交えて紹介する。2001年の初版の情報をアップデートするとともに、新たな話題も追加したブラジル入門書の決定版。

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