多文化共生の舞台裏―ひとひとケアクリニックの試み

多文化共生の舞台裏――ひとひとケアクリニックの試み
2025年4月26日、27日「第一回ネパールフェスティバル関西」が開催され、2日間で1万人近くが参加した。
大阪市生野区の「ひとひとケアクリニック」もそのイベントに出展し、ネパールの人たちに対して、健康診断の大切さを訴えていた。
過去にはネパール映画「One Day」の上映会を実施し、ネパールの現地料理と寿司を提供する異色の企画で地域住民の関心を集めたことも。中村一仁院長は「言葉や習慣の違いを超え、共に笑い合う瞬間が多文化共生の根っこになる」と語る。
商店街がランウェイに!「レッドカットウォーキング」の挑戦
(ひとひとケアクリニックHPより)
(ひとひとケアクリニックHPより)
2024年10月13日、JR桃谷駅前商店街で実施された「いくのな女優レッドカーペットウォーキング」は、約90メートルの赤絨毯を敷き詰めた異色のイベント。生野区在住の芸人・ムジンゾウが参加し、地域住民100人が国籍・年齢を問わず「いくののヒロイン」として歩いた。「医療機関が非日常の舞台を作ることで、地域のつながりを再発見できる」と中村院長は企画意図を説明する。このイベントは「EXPOいくのヒートアッププロジェクト」の一環として、クリニック主導で実現した。
医療の先にある「生きがいづくり」
また、同クリニックはフリーマーケットや多文化交流を通じて「生活の豊かさ」を創造する活動を推進。2024年12月のクリスマスフリマでは売上を能登半島地震の義援金に充てるなど、社会貢献とも連動させる。中村院長は、街全体が『癒しの場』になれば」と、地域の活性化にも熱心だ。
「多様性が当たり前の社会で、医療は何をすべきか」――生野区の挑戦は、クリニックという拠点から新たな共生モデルを発信している。
ZOOMで後日、中村院長にお話を聞いたが、多くの外国にルーツを持つ人が暮らす大阪市生野区は、4人に1名が外国籍。
外国人住民の比率は、東京の新宿区を超えて、日本一の街だ。今後、益々、外国人の長期滞在者が増えていくが、
その意味でも、医療機関が、地域住民と外国人居住者といい関係を築いていこうと積極的に活動をすることは、
地域の人たちの『心と体の健康増進』にもつながると期待されている。