2025/06/02 15:35

世界語としての中国語 ―台湾茶の体験を通して中華文化を学ぶ― 天理大学100周年記念イベント

編集者より

世界語としての中国語 

(中国の民族衣装でイベントを華やかにしていた、中国語学科1年生。)

天理大学中国語学科では、「中国語=中国だけの言葉」というイメージを超えて、世界語としての中国語の魅力を体感できる。実は中国語は、中国本土だけでなく、台湾、シンガポール、マレーシアなど東南アジアの国々でも広く話されている。例えば、シンガポールやマレーシアでは、日常生活やビジネスの場面で中国語が使われており、シンガポールの人口の約75%、マレーシアでも約20%が中華系で中国語を話す。

また、世界の中国語話者は約14.8億人。国連の公用語にもなっているほどで、全世界で5人に1人が中国語を使っている計算だ。つまり、中国語を学ぶことで、アジア各国はもちろん、世界中の人とつながれるチャンスが広がる。
東南アジアの多様な文化や人々と交流できる「世界語」を身に着け、
活躍の場を世界に広げよう!!

2025年5月17日、創立100周年記念事業の一環で開催された「天理大学中国語学科が贈る台湾茶の世界―香りと味わいの旅」という市民講座を訪問した。駅前のイベント会場は、台湾茶の講義や試飲体験、琵琶の演奏などを通じて、地域住民や学生が台湾文化を身近に体験できる場になっていた。

台湾の茶芸は日本の茶道と異なり、形式や作法にとらわれず、自由で気軽にお茶を楽しむ文化が特徴。台湾茶は主に烏龍茶で、香りを重視し、発酵や焙煎の工程で多彩な風味を生み出す。

台湾の代表的な烏龍茶の以下の3種類をそれぞれ楽しむことが出来た。

  • 凍頂烏龍茶:発酵度が低く、花のような香りと爽やかな味わいが特徴。

  • 文山包種茶:軽発酵で緑茶に近い風味、清々しい香りが魅力。

  • 東方美人茶:発酵度が高く、紅茶に近い甘い香りと蜂蜜のような風味。

台湾の烏龍茶は急須で淹れるのが一般的で、茶葉は3回以上繰り返し楽しめる。1煎目は高温のお湯で1分-2分ほど蒸らし、2煎目以降は浸出時間を少しずつ延ばすことで、毎回異なる香りや味わいを堪能できる。急須と湯呑を温めてから茶葉を入れ、1煎ごとにお茶を注ぎ切るのがポイント。台湾烏龍茶は、茶葉が開くごとに風味が変化し、3煎目までしっかりと香りと味を楽しめる。

(文山包種茶を入れる天理大学茶道部4年生の辻さん)

高校時代から、日本の茶道の経験もあり、台湾の東大といわれる台湾大学での1年間の留学経験もある辻直登さんは話してくれた。

『天理大学では、多くの学生が台湾に留学しているが、台湾大学には、世界中からTOPレベルの学生が来ており、様々な国の人たちとの交流が刺激的で、また日本統治時代に日本語教育を受けた世代の方々との交流でも新しい発見があり楽しかった。日本での茶道の経験も台湾の文化を理解する上でも、大いに役に立った』

どうして、中国語を専攻したのか?

高校時代は英語が好きで、英語専攻も考えたが、オープンキャンパスで、中川教授に出会い、中国語の魅力に気が付き、入学することに決めた。中国語は発音が難しいが、その発音に重きを置いた授業が台湾でも役立った。やはり、正確な発音が出来ると、自信を持って話せるし相手にも伝わりやすいので、発音をとても大切にする授業内容は大切だと思う。

奥の深い中国語の魅力

台湾では、繁体字を使うが、繁体字は伝統的な漢字で、画数が多く台湾・香港・マカオで使われている。簡体字は中国本土などで使われ、繁体字を簡略化した字体で画数が少ないのが特徴。繁体字ができると希少なスキルとなり、台湾華語や広東語の習得にも役立つ。

台湾華語は台湾での生活やビジネス、文化理解に不可欠で、台湾独自の表現や繁体字文化に直接触れられる。一方、広東語は香港・マカオや広東省、さらに海外の華僑コミュニティで広く使われ、現地での深い交流やビジネス、エンターテインメントの理解に役立つ。どちらも地域社会や文化に密着したコミュニケーションを可能にし、国際的な人脈やキャリアの幅を広げる重要なスキルだ。

中国語の魅力に目覚めた、辻さんは、大学院に進んで、中国文化の理解を深め、将来は教員になりたいと話してくれた。

中国語と卓球の経験を生かして、『卓球用具のトップメーカー』日本卓球株式会社に内定した、文武両道の佐々木健吾さん

『学生時代から卓球が大好きで、それが高じて、中国語と卓球の両方を学び続けようと天理大学に入学した。そして、交換留学制度を利用して台湾の中文文化大学に留学。台湾でも中国語を学びながら、卓球も楽しむ生活を過ごした。卒業後は、卓球の魅力を伝えるのが自分の仕事になるが、好きな卓球に関わる仕事が出来て本当に幸せだ。』

華僑は、東南アジアはもちろん、アフリカ、ヨーロッパなど、世界中に住んでいるので、卓球を通じて、世界中の人たちと関りを持ちたいと思う。

台湾でも、卓球はとても盛んで、一人でも卓球が出来る機械もあるが、そんなものも世界中に紹介したいと思う。また、簡易の卓球台などもいろいろとあるので、誰でも家で気軽に卓球を楽しめる環境を作るもの夢のひとつだ。

佐々木さんは、高校時代は、卓球を極めたい気持ちもあったが、天理大学に入学し、中国語も使えるようになり、視野が大きく広がったと話してくれた。天理大学では、このように、『自分の趣味』と『語学』を生かして、学生の将来の可能性を広げることのできる環境を提供している。

少人数で、一人一人の学生と向かい合ったその教育姿勢は、大きな大学にはあまりない特色だ。自分の打ち込んでいることのある高校生、世界で活躍したい夢のある高校生には、中国語、特に世界語としての中国語を学べる天理大学での環境は理想的なものだと思う

中国語を学ぶ学生の琵琶の演奏もイベントを盛り上げていた。