2019/11/12 04:39

英語落語の魅力 2  

みんなの生活



英語落語の魅力 2  

                  
英語落語の魅力は、何といっても外国人のお客さんにも落語を楽しんでもらえることだろう。1980年代半ば、私がロサンゼルスにいた頃、TAMAYO(大槻珠代)という日本女性がコメディハウスに出演していて、私は大いに驚いた。今はYouTubeとう便利なものがあるので、Tamayo Otsukiで検索すれば、彼女のスタンダップ・コメディをいくつも見ることができる。英語がそれほど上手なわけではないが、お客さんを笑わせるツボを心得ている。

 

英語落語も同じで、英語力はそこそこでも、その人が持っているパーソナリティが最後にはものをいう。私の英語落語教室の生徒さんにも、そんな人がいる。

とはいえ、台本の工夫は必要だ。日本語のジョークは謎かけに代表されるように地口(じぐち)【言葉遊びの一種】が多い。つまりかけ言葉で笑わせるわけだ。これを英語に訳すのは不可能なので、かけ言葉が最後の落ちになっている『道具屋』や『道灌』などは英語にならない。でも、噺の途中で出てくるジョークであれば、他のものに置き換えることはできる。たとえば、『まんじゅうこわい』に出てくる「まんじゅうでアン殺だ」は訳せないが、私はこの噺自体を『ハンバーガーこわい』にして、チキンバーガーの「チキン」と臆病者の「チキン」をかけたジョークを織り込んでいる。
『厩火事』にはこんなやりとりがある。
「孔子さまは二頭の馬を持っていて、特に白馬をお愛しになった」
「へえ、そうですか。うちの人もあれが好きなんですよ。特に冬はあったまっていいって」
「おいおい、白馬ったって、どぶろくのことじゃないよ」
ここは英語でも、白馬とウィスキーのホワイトホースを掛けたジョークを仕立てることができる。
落語を英語に訳すのは大変でしょう、とよく言われるが、訳す作業には言葉を訳すだけでなく、アイディアを訳す楽しみもあって、大変なことばかりでもない。
台本を工夫する楽しみ。これもまた、英語落語の魅力だ。



主宰 キャナリー英語落語教室 http://www.justmystage.com/home/eiraku/
問合せ 鹿鳴家英楽 <kanariya.eiraku@gmail.com>