2024/04/20 14:03

多文化共生時代の住宅事情

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ワーキング・ホリデー制度 異文化体験が人と国を作る!?
精悍な感じの日本人男性が、ゲストハウスのマネージャーを志願して面接にやってきた。彼は働きながら滞在できるワーキング・ホリデービザを取得し、フランスに1年滞在した経験の持ち主だ。そこではファームに入り、現地の人と住み込みで薪作りや農作業をした。その後、モロッコで日本人観光客相手の宝石商の手伝い、モンゴルでは馬を購入し遊牧生活。帰国してからも、春は沖縄でさとうきび畑に入り、夏は釧路で昆布採りと季節に合わせて移動する生活をした。宿泊施設は寄宿舎や民家を利用したが、個室ではなくシェアルームだった。

ワーキング・ホリデー制度(通称ワーホリ)を使って、異なった文化の中で休暇を楽しみながら、ユースホステルやゲストハウスに泊まり、世界を旅する若者が増えている。このワーホリという制度は、若者向けの特別な渡航制度で、現地滞在にあたってアルバイトが認められているのが特徴である。その目的は若者に国際的視野を育んでもらうことと、協定国である両国の相互理解と友好関係を促進することにある。

1980年に日本はオーストラリアと協定を結び、続いてニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、そして2001年にイギリスと協定をした。2004年のワーホリ利用者数は入国者4,932人、出国者20,564人である。出国者(日本人)に対して入国者(外国人)が1/4と少ない。だが、日韓ではこの関係が逆転しており、韓国人ワーホリが1,800人、これに対して日本人ワーホリは387人である。ちなみに韓国人ワーホリが日本への入国者では一番多い。

釜山で日本語学校を経営している金校長は、「ワーホリを利用して、日本語やアニメの勉強に日本に行きたがっている子はたくさんいる。ただ日本からの入国者が少ないため、ビザが制限され申請しても取得できない状況だ。もっと日本人のワーホリが韓国で増えると嬉しいのだが」と話す。2ケ国間協定のワーホリビザは、両国の申請者数にあまり差がないことが望ましいのである。そういえば、オランダでは若者は18歳を過ぎると親から独立し、その後の進路を決めるため1年程度外国に出る。外国生活を通して、いろいろな人との出会いや経験を積み、自分の将来の進路を模索するそうだ。

 ビジットジャパン!・・もっと多くの外国人が日本を訪れてくれ、日本の生活に溶け込みながら日本文化を体験できる、そんな環境作り、そして住まいの提供ができないものだろうか。


(文)荻野政男
株式会社 イチイ社長
財団法人日本賃貸管理協会
国際交流委員会委員長