2024/04/23 15:02

郷に入っては郷に従え

イベント
郷に入っては郷に従え

お互いに文化を理解し、コミュニケーションをとるのが大事である。
飯田橋のボランティア市民会館で「日本企業を取り巻く環境と、労働市場の実態」について講演がアジア最大規模の国際法学生団体(ALSA)主催で行われた。
このイベントはALSAより世界人材育成機構に打診があり実現した講演会だ。鈴木講師は世界人材育成機構というビジネスマナーの認定資格を発行する機関の主任講師もしている。

欧米の企業とは違って、日本の企業は新卒採用に力を入れている。なぜならば、日本企業は学生の「将来性・可能性」に期待して育成してみたいと思っているからである。しかし、新卒で就職して3年以内に辞める人が36%にも至るのが日本の現状である。
そのため、企業は中途採用をしなければならない状況になる。中途採用は実績もあるし、ビジネスのやり方なども身についていて採用すれば即戦力になるかもしれない。しかし、一方で前の企業のやり方などに染まっている可能性もあるため、前職のやり方をいかせば問題はないが、いかせない場合は転職希望者も難しさを感じるのが現状である。

そこで、もう一つの採用手段としているのが、外国人の採用である。日本の企業の70%は外国人を受け入れたいと思っているが、実際は採用に踏み切れないのが現状である。

留学生や外国人の採用が難しいことに挙げられる理由としては、社内の受け入れ体制が整えっていない。また、職場の理解が得られない。そして、職場でのコミュニケーションなどである。しかし、実際に留学生や外国人労働者を採用した企業では、採用した効果として、新鮮な人材が入社したことによって職場に活気が出てきた、社員が国際的・幅広い視野を持つようになったなどが挙げられる。

したがって、留学生や外国人を採用する企業側ももっと外国人の文化を理解し、もっとコミュニケーションを取り、外国人をきちんとサポートすれば、問題は解決できるはずである。

鈴木賞子講師インタビュー

suzuki%20syouko.jpg



世界育成人材機構主席講師 鈴木賞子氏
人事コンサルタント・キャリアアドバイザー ・大学客員教授 世界人材育成機主席講師

職歴等/大学卒業と同時に、建材資材メーカーに入社。人事(採用・教育)と広報を8年間担当。その後、就職情報会社に転職。金融、サービス、通信情報などを中心にあらゆる業界約200社の採用を中心とした人事業務のディレクションにあたる。4年間勤務した後、独立。
現在、複数の大学で「キャリア開発科目」「経営学」を中心に講師をしている。同時に学生のキャリアアドバイス、カウンセリング、企業の人材育成にあたる。授業と講演(就職・人材)・研修を中心に年間で約340本をこなす。これまで20万人以上の学生と接する。また大学院では留学生を対象に「企業文化」や「ビジネスマナー&コミュニケーション」を教えている。
就職雑誌での学生向けの連載実績(3年間)、専門新聞でのビジネスマン向けの連載実績(5年間)あり。テレビ・雑誌・新聞への登場多数。FM西東京で3年間毎週「ハロー!キャリア-これが私の生きる道」のパーソナリティを務めた。                                                      
専門領域/就職のアドバイス、キャリア・アドバイス、企業への採用のアドバイス、企業の人材育成、ビジネスマナー、大学教員へのキャリア教育導入研修、大学職員の人材育成
大学授業/キャリアデザイン、キャリア開発論、キャリア教育学、現代社会と職業選択、現代職業講座、インターンシップ、進路研究、コミュニケーション論、プレゼンテーション、人的資源論、組織論、人事制度と法律、労働法など
主な仕事先/大学、高校、厚生労働省、文部科学省、経済産業省、中小企業庁、各都道府県行政機関、一般企業、シンクタンク系、就職情報誌、テレビ、ラジオ、雑誌・新聞など

著書/「就職対策 最短集中ゼミ」(かんき出版)
「内定をとる!絶対のグループ面接・グループ討論」(高橋書店)
「マナー・一歩先のビジネスマン講座」(ポスティコーポレーション)
「就職力 7つの黄金法則」(講談社)
「就活力 企業が求める5つの力50の行動」(ライブドア パブリッシング)など 

留学生の感想文

日本の社会に溶け込んでがんばっていこう
%E5%85%8E%E3%81%95%E3%82%93.JPG 

留学生である私にとって外国人の採用は身近なことでありながら、心掛けて考えたことはなかったのです。日本企業が取り巻く環境と労働市場が変わっていくために、留学生や外国人の労働力が必要になってくるのは事実であるが、実際に受け入れるのは厳しいことであることを今回の講演でわかりました。その為自分が出来ることは何かを改めて考えなければならないと思いました。まずは、自分からはじめ、多くの人々に「日本の企業が求めている人材はどのような人であるか」を伝えて行きたいと思います。中国のことわざ「入乡随俗」(郷に入っては郷に従え)を忘れずに、日本の企業で就職したい人はぜひ日本語の勉強をはじめ、日本の文化を理解し、日本の法律を遵守すべきであると思います。また、留学生や外国人を採用する企業側ももっと外国人の文化を理解し、もっとコミュニケーションを取り、外国人をきちんとサポートすれば、問題は解決できるはずです。最後に、フリーペーパーをご覧になるみなさんに初心を忘れずに、自分の気持ちをもう一度整理して、自分の夢に向かって歩んでいただきたいと思います。また、外国人が日本で就職して日本人と同じ待遇をされるには私たち外国人の一人ひとりの努力次第であると思います。(文教学院大学 兎青さん)