2024/10/10 00:38

日本の再生はここからはじまる

特集

日本の再生はここからはじまる

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留学生や日本人学生が地域の人たちと協力して新しい未来を切り開く
高島平団地、日本で一番大きく、歴史のある団地で日本の大学生と留学生が地域の活性化に目覚めて大きな問題に挑戦している。 新しい地域と大学の関わり方を探るため、このプロジェクトの発起人で、ある大東文化大学の山本教授と大学職員の井上さん、活動中の大学生、留学生や地域の人たちにお話をお聞きしました。
 
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国際交流のイベント参加者で記念写真
1:高島平のプロジェクトを始めようと思ったきっかけは何ですか?
(山本教授)

かつては3万人以上が住んでいたといわれる高島平団地も、今では65歳以上の高齢者の割合が35%近くになり、超高齢化団地となりつつあります。また少子化が進み今後、以前にもまして大東文化大学も地域との連携が大切になって来ています。社会全てが内向きになっている状況を大学側と地域の人たちが協力して打破しようとの思いで情報交換をスタートしたことがこのプロジェクトの始まりです。最初は関係者の賛同を得るのに苦労しましたが、触れ合う間に、少しずつ雰囲気が変わり始めました。現在は大学や文部科学省からの補助も得て、高島平団地の空室を大学側が借り上げて希望学生に家賃の一部を大学が負担する形で、留学生9人を含む学生16人が入居しています。

地域通貨「サンク」の普及活動や、団地の活性化事業や広告・出版・映像事業などの展開も計画中ですし、昨年まで学生だったスタッフ(井上温子氏 後述)も大学の職員としてプロジェクトに関わり、学生と地域の人たちが以前にもまして自主的にプロジェクトの企画、運営に携わるようになってきています。



2:住民の方々と留学生や日本人の学生たちとの関わりについてお聞かせ下さい。
(井上温子大学職員)

カフェサンクという団地の店舗スペースを利用した交流スペースが5月にオープンしました。そこで学生たちや地域の方々が自主的に様々な行事や講座を企画しています。
留学生や日本人の学生が中国語、韓国語、英語などを教え、地域の人たちは子供に絵本の読み聞かせをしたり、外国人のための日本語教室などを開催しています。全ての講座は、関わる人たちのボランティアで成り立っていますが、報酬の代わりに地域通貨「サンク」が発行されます。サンクは地域の加盟店でポイントとして利用ができますから、間接的に地域の経済的な活性化にも役立つことになりますね。


3:このプロジェクトを通してどんなことを感じられましたか?

(山本)
日本の社会が内向きになっていることですかね。自分のテリトリー以外のことは関係ないという姿勢は正さないといけないと思います。パイがどんどん大きくなる成長社会が終焉を迎えているのにまだそのことに気がついていない人が多いように思います。今、一番そのことを理解しないといけないのは学生でもなく、地域住民でもなく、大学の教員だと思います。大学は少子高齢化の大きな波を受けているにもかかわらず危機感がない。このことが一番心配していることですね。教員が学生の自主性を尊重して、どうしたらやる気を起こすことが出来るかを真剣に考えなければならないと思います。ますます、大学の枠を超えて、地域や他の大学とも連携して学生の学ぶフィールドをどんどん広げていくことが重要ですね。


4:自分の将来を決めかねている学生にメッセージをお願いします。


(山本)
損得だけで物事を判断するのではなく、本当に今の自分に重要なことは何かを自分自身に問いただしてみてください。高島平には日本の社会が抱える問題が山積しています。しかし、ここに集まった学生たちはその問題に果敢に挑戦して、失敗してもまた新しいやり方を考えて仲間たちとがんばっています。周りの大人たちも経験の少ない彼らが懸命に一つのことに取り組んでいる姿をいつまでも傍観しているわけにはいきませんよね。
カフェサンクでも志のある大人たちが学生たちをサポートする体制が出来つつあります。
一度、カフェサンクに来て見てください。きっと新しい出会いが待っていますよ。

(井上)
ここにはそれぞれの個性を活かしあって助け合える仲間が大勢います。
「自分が出来ること」で周りの人たちを幸せにする、こんなにすばらしいことが実現できる舞台がここ高島平団地にはあります。私も去年まで学生でした。協力してくれるはずの学生が急にこれなくなったり、時間をかけて行事の計画してもぜんぜん前に進まないこともたくさんあります。しかし、山本先生のおっしゃる通りとにかく前向きにがんばっていると色々な人たちとの出会いの中で不思議と道が開けてくることもありました。
一度、カフェサンクに遊びに来てください。私たちと一緒に大きな夢を共有し、その夢をいっしょにかなえていきましょう!!
 
 
 

大東文化大学 山本教授

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山本 孝則 教授 大東文化大学 環境創造学部 環境創造学科 やまもと・たかのり 1948年東京生まれ。81年武蔵大学大学院経済学研究科博士課程修了。89年大東文化大学経済学部講師。92年同助教授。97年同教授。01年より現職。この間に94年独ハノーバー大学客員教授。主な著作に『現代信用論の基本問題』(以下いずれも日本経済評論社刊)『不良資産大国の崩壊と再生』『環境創造通貨』(共著)などがある。 山本先生が主宰する「環境創造学と環境創造通貨サンクのページ」の URLはコチラ ↓ http://members.at.infoseek.co.jp/tyamamoto/
 

地域の人たちと学生たちの交流スペース

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カフェサンク

カフェサンクをどのように活用していますか?

カテゴリ名:高島平
モンゴルの留学生 ジリーさん) 

大学から家賃の補助があったので、この団地に住むことにしました。
今は2LDKに日本人の学生と一緒に住んでいます。今はモンゴルの楽器の演奏や映画の上映会など私たちの国の文化を紹介しながら地域の皆さんやほかの大学生と交流しています。団地に住む学生はまだ16人しかいませんが12月には32人になる予定です。100人位になれば、かなり地域にも役に立ついろいろなことができると思います。
こんな身近なところで交流ができてとっても感謝しています。他の留学生ももっと地域の人たちやほかの学生と交わりたいと思っているので、他のエリアでも同じような取り組みが増えるといいと思います。

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多文化共生

僕は、子供たちを集めて七夕のプログラムをやりました。

カテゴリ名:高島平
日本人学生(斉藤さん)

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僕は、子供たちを集めて七夕のプログラムをやりました。
みんながとっても喜んでくれたので感激して少しウルウルしてしまったのを覚えています。日本人の学生は留学生と比べるとおとなしい人が多いけど、本当はみんなもっとお互い助け合う気持ちを持っていると思います。
ここに来れば、学生以外にもいろいろな人がいるので社会的にも勉強になると思いますね。

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 地域の人たち(仲島さん)

私は留学生が運営している韓国語の教室に参加しています。
病気で話をすることが不自由になったのでリハビリのつもりで通っています。
若い人たちと交流することはとっても楽しいですね。皆さんとわいわいやっていると
病気も早く治るような気がします。家内はその代わりにメイクの方法を留学生や日本人の学生の皆さんや普段化粧することが少なくなった高齢者の人たちにも教えています。
越してきたばかりで、知人も少ないのでカフェサンクを通して、地域の人たちとも知り合いなれてとても助かっています。

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学生たちのよき相談役(三井さん)

私はこの地域で自営業をしているので地域が元気にならないと事業もうまくいきません。
若い学生さんたちががんばっているので、地域住民の間でも少しずつ変化が出てきたと思います。みんなで盛り上げていこうと思うと若い人たちのパワーは地域の活性化には必要ですね。私も自分のできる範囲で応援していきたいと思っています。

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カテゴリ名:高島平
外国人や学生で地域活性化を図ることはとても素晴らしいことだと思います。高齢化社会になっていく日本、そして、国際的社会になっていく現在、日本はもっとオープンに外国人を受け入れ、仲良く住み心地が良い日本社会を作れば良いと思います。これからは、外国人と一緒に新しい日本社会創りに貢献できるこのような発想がもっと増えたら良いなと思います。