2024/04/20 03:31

元祖ソーシャルビジネス!! 荻野政男氏インタビュー

特集

 

元祖ソーシャルビジネス!!


『FUKUSHIMA』をあきらめない気持ちを世界に発信



3.11の震災後、多くの人たちが『人と人の絆』の大切さを再確認した。今回は、福島県いわき市出身で、震災復興の支援活動もしながら、本業でも外国人の住居支援などの社会的事業を展開する株式会社イチイの荻野政男社長に留学生の施寅傑(シインケツ)さん(左・中国)と李相濬 (イサンジュン)さん(右・韓国)がお話を聞きました。



荻野政男氏 株式会社イチイ社長・日本賃貸住宅管理協会(日管協)国際交流委員会委員長 大学時代に欧米各国に滞在した経験から帰国後、外国人のための住居を提供しようと不動産事業を手がける。今では業界発展のため、外国人入居支援セミナーや留学生インターンシップの導入なども行う業界の先駆者的存在。3.11の震災後は、いち早く出身地の福島いわき市で、『ふくしま国際メディア村』を立ち上げ、いわきの人たちを勇気つけようと地道な活動を続けている。




Q:(シさん)外国人の住居の問題に関心を持ったきっかけは何ですか?


A(荻野氏)学生時代にアメリやイギリスを旅したり、部屋を借りて住んでいたこともありますが、そこで、色々な形態の住まいを見たことがきっかけですかね。泊まったゲストハウスなどでも色々な国の人たちが年齢・性別・国籍に関わらず大きなリビングで楽しそうにくつろいで会話を交わしている。とても刺激的でしたね。そこで、日本に帰ってから手始めに外国人が住める住宅を探したんです。しかし、大使館員や外資系の重役が住むような家賃が100万もするようなもの以外当時はありませんでした。困ったので、仕方なく古くて日本人が借りようとしないアパートの大家さんと交渉しながら少しづつ外国人に部屋を貸してくれるところを探していきました。ある日、大学教授の住まいを一緒に探しに何件もの不動産業社を回りましたが、外国人だというだけでほとんど門前払い。たとえ社会的に信用のある人であっても外国人であれば、こんなに部屋探しが大変なんだと実感しました。そのとき以来、この入居に関しての差別をなくしたいと本格的に取り組むようになりました。その後、外国人も増えていく中で事業は伸びていき、大型の社宅を転用して100名以上住むことの出来る海外で見たようなゲストハウスを作ることも出来るようになりました。今ではゲストハウスも社会的にも認知され、数々のメディアでも頻繁に取り上げられるようになりました。

Q(イさん)今、荻野社長は、日本賃貸住宅管理協会(日管協)でも国際交流委員会の委員長として業界にも色々と新しい提案をされていますね。



A(荻野氏)そうですね。不動産業者としてのプライドもありますね。私の実家も大家をしていたので、子供の頃は長屋のようなところで他の入居者と仲良く暮らしていました。昔の話ですが、当時の大家さんは、仕事を探したり、結婚相手を紹介したりと住人のために生活の面倒も見ることも仕事のひとつだったんですね。大家は入居者に家賃を継続して払ってもらって生活をしているわけですから、それはお互い様なんですよ。そういう役割を元々不動産業者(大家)はしていたんです。ビジネスだけでは割り切れないコミュニティーを大切にするソーシャルビジネス的な発想がそこにはあるんですね。その考えが根底にあり、国際交流委員会としても外国人の人たちが部屋を借りやすい状況を作ろうと、業者向けのセミナーをしたり、多言語の入居案内のDVDの作製、また留学生のインーンシップを開催したりしています。



Q:(2人で)インターン中は本当にお世話になりました。私たちもお手伝いをしましたが、ご出身のいわき市の支援もやはりそのような考えが根底にあるのですか?
また現地に行かれて活動をされてみての感想はどうですか?


A(荻野氏)いわき市にも営業拠点があるし、私の親戚や友人も大勢住んでいます。困った時はお互い様。被災地に親戚や友人がいる人は行動をするしないに関わらず思いはみんな一緒だと思います。いわきの人たちに少しでも元気になってもらおうと、去年の8月と年末に歌や踊りのイベントを多くの市民や有志に参加してもらって行うことが出来ました。原発のせいで、多くの家族が離れ離れになって住んでいますが、少しでも参加者みんなの絆が深まればと思います。その様子は、USTREAMでも中継され日本全国、海外でもいわきを心配する仲間たちが見てくれました。

Q:(2人で)最後になりましたが、今の若者に望むこと、またこんな人なら一緒に仕事がしたいという人はどんな人ですか?

A:とにかく、若いうちに海外を見てくることが大切だと思います。そして出来るだけいろんな人と関わってどんどん世界中に友達を作ってください。あと、一緒に働く仲間に求めることは、好奇心とチャレンジ精神ですかね。それと、不動産の仕事も時代のニーズと共にどんどん変化していきますが、いつの時代も思いやりのあるコミュニケーションが基本です。住まいを通じて人を元気にしたいという気持ちに共感してもらえる人ならぜひ、一緒に仕事がしたいですね。

留学生が日本に来て一番はじめに関わるのが、日本語学校の教師と不動産業者だといわれる。30年以上も前に心に誓ったことを不動産業界の先駆者として一途に一歩一歩実現してきた荻野社長。仲間を思い福島の原発問題にも本気で関わる姿は、まさに元祖ソーシャルビジネスの経営者だ。




 


㈱イチイで『ふくしま国際メディア村』の

広報のインターンを経験した留学生の感想

インターンシップの修了報告会で、荻野社長に紹介されるシさん


シインケツさん(中国)
最初はどうして不動産会社が、被災地支援の活動をこんなに一生懸命やっているのかわかりませんでしたが、自分たち自身が正しい情報を出して、人に伝えることの重要さを知りました。ふくしま国際メディア村で行われたイベントの告知を取り上げてもらおうと色々な中国の新聞に情報を送りました。中々大変な仕事でしたがあきらめずにがんばっているうち、やっとひとつの新聞社で記事にしてもらえました。やっと皆さんの役に立てたようでうれしかったです。中国語から日本語に翻訳することも多かったですが、皆さん、私のつたない日本語を根気強く添削してくれました。日本に来て以来、アルバイトと学校の授業の毎日でしたが、日本で元気にやっている外国人の人たちの情報を世界に発信出来てよかったです。荻野社長、私を指導してくれた松尾さん、森さん本当にありがとうございました。

 

 

 

松尾さん(右)森さん(左)ありがとうございました



イサンジュンさん(韓国)
私はマスコミ希望なので、本当にとてもいい経験をさせてもらいました。しかし、私は何でも考えすぎるところがあり、十分お役に立てず申し訳なく思います。

外国人へのインタビューも中々慣れませんでしたが、皆さんに指導してもらい、段々と楽しく仕事をすることが出来る様になりました。『面白おかしく、誰もがやらないことをやる』がイチイの精神です。私を指導してくれた松尾さんや森さんに教えてもらいました。広報や情報発信の仕事は、留学生が取り組むには難しいこともありましたが、自分が翻訳した記事やインタビューの動画がアップされているのを見て、皆さんに少しでも役に立てたとうれしく思いました。

2人ともとても責任感のある学生さんで、とにかく面倒を見てくれている社長やスタッフの役に立とうと懸命にがんばっていた。学校では得がたい経験をしたと思う。

イチイ株式会社での仕事に興味がある人はこちら↓

http://www.ichii-re.co.jp/recruit/

ふくしま国際メディア村はこちら↓

http://fukushima-news.com/ja/