国境と文化を超えて「心と心で向き合う医療」を インドネシア出身看護師・ヌルファンディさん
- 2026/10/16 23:47
【Globalcommunity インタビュー】
国境と文化を超えて「心と心で向き合う医療」を
——インドネシア出身看護師・ヌルファンディさん
今回は、大阪市生野区の「ひとひとケアクリニック」で看護師として活躍するインドネシア出身のヌルファンディ(Nurfandi)さんにお話を伺いました。
日本に来られた経緯
——まず、日本に来られたきっかけやこれまでの経緯を教えてください。
子供の頃から日本のアニメが大好きで、ずっと「日本に行ってみたい」という憧れがありました。2016年にEPA(経済連携協定)のプログラムを利用して来日しました。地元(スマトラ島)では親から「日本は遠すぎる」と強く反対されましたが、「このチャンスを絶対に逃したくない」という強い思いで決意しました。
来日前の半年間と来日後の半年間、朝から晩まで必死に日本語を勉強しました。特に漢字は1文字につき何十回も書いて覚えるなど猛勉強を重ね、1年後には日本人と同じ試験内容である難関の看護師国家試験に見事合格することができました。その後、豊中市などの病院で看護師として実務経験を積み、2022年に大阪公立大学大学院に進学しました。そこで出会った友人(スタッフ)との縁があり、2026年夏より「ひとひとケアクリニック」で働き始めました。
ひとひとケアクリニックでお仕事をされて感じること
——「ひとひとケアクリニック」で実際に働いてみて、どのように感じていますか?
以前働いていた大規模な病院とは異なり、ここは非常に地域に密着していて温かみがあるクリニックです。ハロウィンやクリスマスの時期にはスタッフみんなで仮装したり、イベントでインドネシア料理を振る舞ったりと、患者さんに喜んでもらう工夫がたくさんあります。
医療従事者と患者さんとの距離がとても近く、まるで仲間や家族のように接することができます。体調の不調だけでなく「ただ話を聞いてほしい」という患者さんにも時間をかけて寄り添うことで、笑顔で帰っていただけることに大きなやりがいを感じています。国籍や年齢を問わず誰もが気軽に相談できる環境があり、私自身も楽しく多くのことを学ばせていただいています。
日本で医療業務に携わって感じること
——日本で看護師として医療業務に携わる中で、実感されていることは何ですか?
当院でも患者さんの約8割が高齢の方です。言葉が少し聞き取りにくいこともありますが、少しずつ慣れたり、分からない表現があれば先輩スタッフに確認して解決しています。
日本の医療現場に携わって強く感じるのは、「看護や医療の仕事は機械やロボットでは代用できない」ということです。医療は単なる処置だけでなく、人間同士の心と心のふれあい(ヒューマンタッチ)によって患者さんの不安を和らげ、癒やしを与えるものだと実感しています。また、多言語や多文化に対応できるクリニックはまだ日本国内に少ないため、当院のように国籍に関わらず安心して受診できる場の必要性を強く感じています。
関西での生活や大阪弁についてどう感じますか?
——関西での生活や大阪弁にはどのように馴染まれましたか?
最初は日本語学校で標準語を習っていたので、大阪弁(関西弁)を聞いた時は「これ何?」と戸惑いました。しかし、職場で同僚や患者さんと会話するうちに自然と身につき、今では「無意識に関西弁が出てしまう」「逆に関西弁の方が話しやすい」と感じるほど馴染んでいます。
現在は大阪市西成区(今宮駅近く)に住んでいますが、近くのモスクにはインドネシアをはじめ様々な国の人々が集まるコミュニティがあり、とても安心して生活できています。来日して10年が経ち、現在では母国よりも大阪での生活環境や人間関係の方が慣れていて居心地が良いと感じています。
将来の夢、今、一番関心のあること
——最後に、将来の夢や今一番関心のあることについて教えてください。
現在は永住権の申請中です。永住権を取得できれば、日本での働き方の自由度が増し、このクリニックでの活動や地域のコミュニティづくりにもっと深く関わっていきたいと考えています。そして今、一番関心を持っているのは「母国の後輩たちの育成とサポート」です。今後、インドネシアから日本を目指す看護・介護人材に対して、日本語の学習指導や日本での就労・生活サポートに携わりたいという強い夢を持っています。自分自身の経験を活かし、日本とインドネシアをつなぐ架け橋として貢献していきたいです。
驚くほど流ちょうな日本語で話してくれたヌルファンディさん。妊婦の奥さんのサポートもしながら、忙しくも充実した日々を送りながら、後輩の外国人の医療を目指す人たちにも役立つことをしたいと話してくれました。(グローバルコミュニティー主宰 宮崎計実)